ネットの質問サイトなどで『将棋の方が競技人口が多いので、囲碁よりも面白い』などと主張されている方を何度か見かけたことが有ります。別に、競技人口は面白さを表す基準というわけではありませんのでかなり疑問な意見です。
ということで今回は『囲碁と将棋ではどちらが面白いのか?』に関して記事を書いていこうと思います。ま~、私は囲碁打ちですし、結論は『囲碁』なんですけどね。以下、参考にしてくださいな。
目次
囲碁と将棋、両方できる人は囲碁を選ぶ
私はリアルで碁会所に行ってますし、職場に碁打ちの知人もいます。共通して言えることは『碁打ちは必ず将棋もできる』ということです。碁打ちで将棋ができないという人に私は出会ったことが有りません。
対して、将棋指しの人たちはほとんど囲碁ができません。私の知人では将棋指しの90%は囲碁が打てません。
将棋指し
『囲碁は難しい』
『何をやっているのかわからない』
と言いますね。
つまり、囲碁と将棋の両方できる人はほとんど『囲碁』を選んでいるんですよ。そして、将棋指しのほとんどは囲碁に挫折した人でした。実際、私も囲碁に挫折したから将棋をやっていた者の一人でしたからね。社会人になって囲碁を覚えてからは、囲碁まっしぐらですよ。
どちらの競技人口が多いのか?
ちょっとここで囲碁と将棋の『競技人口』に関して話をしてみようと思います。
日本人の娯楽に関して調査している『レジャー白書』によりますと、囲碁と将棋の競技人口はこのようになっているそうです。
▲レジャー白書による競技人口
囲碁も将棋も競技人口は減少傾向ですね~。2017年時点で言うなら、将棋人口は囲碁人口の3.7倍(約4倍)くらいになってきます。
次に『インターネットでの検索数』を基準に調査してみました。
▲『yahoo』と『google』での月間検索数
『yahoo』と『google』での月間検索数を比較しますと
◆囲碁・・・月間検索数 27万回
◆将棋・・・月間検索数165万回
つまり『囲碁の検索数よりも将棋の検索数の方が約6倍多い』ということです。私のリアル基準で言うなら、こっちの方がしっくり来るんですよね~。
ですからま~、競技人口は囲碁より将棋の方が4~6倍くらい多い、ってのが現状だと考えられます。(以下『5倍』ということで話を進めます)
囲碁打ちの方が少ないのに碁会所は多い
リアルで囲碁を楽しむ場所が『碁会所』で、将棋を楽しむ場所が『将棋道場』です。では『碁会所と将棋道場はどちらが多いのか』を調べてみようと思います。
調べる方法は『google MAP』です。適当に指定した地域において『碁会所』と『将棋道場』のどちらが多いのかを調査してみようと思います。
【新潟周辺】
・碁会所・・・・7ヶ所(囲碁の方が多い)
・将棋道場・・・4ヶ所
【広島周辺】
・碁会所・・・・9ヶ所(囲碁の方が多い)
・将棋道場・・・2ヶ所
【福岡周辺】
・碁会所・・・・20ヶ所(囲碁の方が多い)
・将棋道場・・・3ヶ所
このように圧倒的に囲碁を打つための碁会所の方が多いんですね。
また、2005年の『教えてgoo』という質問サイトでこういった内容が書かれてありました。
(引用元:教えてgoo2005/07/02より)
2005年時点にどなたかが行った調査によると、『碁会所の数』は『将棋道場の数』のおよそ5倍であったということです。yahoo知恵袋での情報によりますと『将棋道場はネットの登場で半分以上どころではないほどに激減した』という話を聞きますので、2021年時点ではこの格差はさらに広がっているものと思われます。もしかしたら10倍くらい碁会所の方が多いのかもしれません。
このように、囲碁打ちよりも将棋指しの方が5倍も多いにもかかわらず、囲碁を打てる碁会所の方が5~10倍も多いというのが現状なんですね。これだけを見ても『囲碁の方が将棋よりも面白い』としか判断しようがありません。
囲碁打ちの方がお金をよく使う
①囲碁打ちの方がお金をよく使う
『碁会所が多い』ということは、囲碁打ちは『お金を使っている』ということなんですね。つまり、囲碁の方が世間的にもお金になると言うことです。お金を使ってでも楽しみたくなるほどに面白いゲームってことなんですね。
そして、将棋の人は『あまりお金を使わない』ということです。
②雑誌も囲碁の方が売れている
【月刊誌の発行部数】
◆碁ワールド(発行部数10万)
◆将棋世界(発行部数7万)
(引用元:日本棋院学校普及事業より)
(引用元:マイナビ取り扱いメディアガイドより)
【新聞の発行部数】
◆週刊碁(発行部数10万)
◆週刊将棋(2016年3月30日号で休刊)
(引用元:wiki週刊将棋より)
囲碁の月刊誌と言ったら『碁ワールド』で10部発行されています。対して将棋の『将棋世界』は7万部しか発行されていません。新聞に至っては『週刊碁』は売れているのに、『週刊将棋』は休刊になっています。
こういった状況を見ても、囲碁に夢中になっている人は多いのだろうなと判断できます。
③囲碁打ちの方が社交性がある
碁会所が多いと言うことは『囲碁打ちはリアル交流も重視している』ってことです。つまり『社交性がある』ってことですね。囲碁をやっていれば色々な人と知り合い交流を持てるってことなんですよ。
対して、競技人口のわりに将棋道場が少ないと言うことは『将棋指しは社交性が低い』と言わざるをえません。
ま~私も引きこもり気質でアニメ大好きのオタクタイプですからあまり言えたガラではありませんが、それでも碁会所には行ってますからね。将棋の人たちもリアル交流くらい積極的にやって、将棋道場を増やした方が絶対に楽しめると思いますけどね~。
囲碁打ちはお金を使うし、交流も楽しんでいる。どう考えても囲碁の方が面白いからこういった結果になっているとしか思えません。
『囲碁=囲碁打ち』『将棋=囲碁打ち+将棋指し』
先に述べた通り
【月刊誌の発行部数】
◆碁ワールド(発行部数10万)
◆将棋世界(発行部数7万)
ですが、これには補足を入れる必要があります。
◆囲碁打ちは将棋もできるため将棋の雑誌も買う
◆将棋指しは囲碁ができないため囲碁雑誌を買わない
つまりどういうことかと言いますと、囲碁打ちは将棋雑誌の売り上げに貢献しているけど、将棋指しは囲碁雑誌の売り上げに貢献していないということになるんです。
ですから、純粋に『囲碁打ちの購入数』と『将棋指しの購入数』を分けると囲碁打ちの方が倍以上雑誌を購入しているのではないかな~と思えます。囲碁打ちはそれだけ経済に良い影響を与えているってことですね。
何が言いたいのかと言いますと、囲碁は将棋に貢献しているのですから、将棋指しも頑張って囲碁を打てるようになり囲碁に貢献していただきたいな~と思うんですよ。
プロの世界では囲碁の方が賞金額が多い
囲碁と将棋のタイトル戦の賞金額をご紹介したいと思います。
◆囲碁の賞金額:合計1億4600万円
棋戦 | 賞金額 |
---|---|
棋聖戦 | 4500万円 |
名人戦 | 3100万円 |
本因坊戦 | 2800万円 |
王座戦 | 1400万円 |
天元戦 | 1300万円 |
碁聖戦 | 800万円 |
十段戦 | 700万円 |
合計 | 1億4600万円 |
(参照元:日本棋院の国内棋戦より)
◆将棋の賞金額:合計1億1200万円
棋戦 | 賞金額 |
---|---|
竜王戦 | 4200万円 |
叡王戦 | 2000万円 |
名人戦 | 2000万円 |
王位戦 | 1000万円 |
王座戦 | 800万円 |
棋王戦 | 600万円 |
王将戦 | 300万円 |
棋聖戦 | 300万円 |
合計 | 1億1200万円 |
(参照元:将棋棋士の給料・タイトル戦の賞金まとめより)
『将棋の方が競技人口が5倍も多い』にもかかわらず、競技人口の少ない囲碁の方がタイトル戦の賞金額が多いんです。さらに言うなら、賞金を出している新聞社は全て囲碁の方に多くの賞金を出しています。理由は先に述べた通り『囲碁打ちの方がお金を使う』からだと考えられます。
囲碁は世界大会がある、将棋は日本だけ
【囲碁】
・プロ棋士の世界大会がある
・アマチュアにも世界大会がある
・囲碁AIの世界大会がある
【将棋】
・プロもアマチュアもAIも日本国内のみ
囲碁は『世界競技』であるため世界大会が存在します。特に中国、韓国、台湾でも囲碁人気が高いんです。ま~、日本は中国、韓国に負けてしまっているってのが残念な所ではありますが。
『中国』や『韓国』に興味を持ち中国人や韓国人と交流を持ちたいと考えている方々もいると思います。そういった方々にも『囲碁』はお勧めです。囲碁を通じて多国間交流ができるんです。素晴らしいことだと思いますよ。
このように囲碁は『世界競技』であるため世界を意識した楽しみ方があります。しかし、将棋は国内競技であるため、国内のみです。こういった観点から見ても、囲碁の方が楽しめるジャンルなんですね。
囲碁の面白さを語る用語
◆碁キチ
◆碁打ちは親の死に目に会えない
◆碁打ち鳥飼い馬鹿の中
『囲碁打ち』のことを語る用語として上記のようなものがあります。それぞれどういった意味かと言いますと
◆碁キチ
『囲碁キチガイ』の略で、囲碁に夢中になりすぎている困った人たちのことを揶揄する言葉。しかし、言われた本人は意外と嬉しい。◆碁打ちは親の死に目に会えない
勝負事は人を魅了してしまい時がたつのも忘れさせてしまうという意味。
(引用元:知って得することわざ集)◆碁打ち鳥飼い馬鹿の中
熱中して時間をむだにする、碁打ちと鳥飼いをあざけっていう言葉。
(引用元:コトバンク)
昔から囲碁に夢中になる人が多かったためこういった用語があるのでしょう。
『囲碁は大名の娯楽で、将棋は庶民の娯楽』なんて言葉を聞いたことが有ります。しかし、こういった言葉が残っていると言うことは、大名だけでなく庶民の方々もまた囲碁に夢中であったということではないでしょうかね~。
一応探してみましたが『将棋に夢中になりすぎる人を例えた言葉』を見つけることができませんでした。将棋が庶民の娯楽だったのであれば、むしろ将棋の方が多くなければおかしいと思うんですけどね? どう考えても庶民が愛していたのは将棋ではなく『囲碁』の方です。
✕: 囲碁は大名の娯楽で、将棋は庶民の娯楽
〇: 囲碁は大名からも庶民からも愛されていた
このように判断するのが妥当だと思います。結局、今も昔も熱中するほど面白いのは『囲碁』の方なのではないでしょうか。
あとがき
長々と『囲碁美化プロジェクト』を語ってみましたが、いかがだったでしょうか。
ま~私は囲碁打ちですからね。囲碁の方が面白いと感じるのは仕方のないことです。しかし、それなりに説得力はあったつもりなんですが、どうでしょうかね~。
今回、この記事を書いてみようと思ったのは『将棋指しの人たちが「囲碁よりも将棋の方が面白い」』と主張しているのを頻繁に見かけたからです。まったく意味が分からない理屈を語っているし、説得力もないな~と思ったんですよ。こういった将棋指しの主張ばかりを聴くのも馬鹿らしいので、一度囲碁打ちの目線でしっかりと書いた記事を残しておくべきだと思い、今回の記事となりました。
ま~、そもそも『どちらが面白いか』なんて比較しても大した意味はありません。囲碁が面白いと思う人は囲碁をやればいいし、将棋が面白いと思っている人は将棋をやればいいんです。ただそれだけのことなんですよね~。
Leela | (1)無料入手方法(2)検討、レーティング対局(3)『野狐囲碁』の棋譜を検討(4)『東洋囲碁』の棋譜を検討 |
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たまたま王安石(宋代の有名な中国の人)の話を読んでいると「碁盤は木野孤だよ」との彼の忠告文がありました。
中国ではキツネは妙齢な美女に姿を代えて人をだますという民間伝承があり、碁盤は野狐がバケた妙齢の美女さながらに人を惑わす魅力いっぱいの木の盤に化けた野ギツネだということ…。
なるほど~。面白いですね。『野狐囲碁』の語源はそれかもしれません。
私もそう思います。
日本では妖狐(ようこ)の世界に階級が天狐(てんこ)から野狐(やこ)まであり、やこは最下級だそうです。(九尾の狐など上級の妖怪は人は見ることができないが下級の妖怪は見ることがあると伝わってます)
我が町には稲荷神社があり、ギネスブックに載っている大皿があります。また白狐温泉という狐に由来する温泉もあります。
私も将棋も指せます出来ますが、断然囲碁派です。でもやはり囲碁はルールを覚えるところから敷居が高いですよね。将棋のほうが始めやすい。ボール一つでできるサッカーと防具が必要でルールが複雑な野球にも似ている気がします。
碁会所と将棋道場の件ですが、人数が少ないからこそ集まる場が多い可能性もありますよね。将棋はわりと周りに指せる人がいるので、わざわざ探す必要がなかったりするのかなと。
面白い記事でした。
納得の比較論でした。碁打ちは囲碁も将棋も出来るが将棋指しは、そうでない、というのはなるほどと思いました。囲碁人口が少ないのに、碁会所が、将棋道場より多いのは「金を払ってでも碁が打ちたい」人がより多いから、に他ならず、結局、ゲームの性質に起因すると思います。将棋は駒の決まった動きで王を追いつめますが、碁は一手一手が自由自在、自分なりの独創性が発揮できます。
囲碁はアジア競技であり世界競技ではありません。
世界競技を名乗れるボードゲームはチェスだけでしょう。
それから将棋もアマチュアの大会やAIなら海外にも存在します。
そしてアジア以外においては、囲碁と将棋の競技人口にそれほどの差はありません。
少なくとも世界競技などと威張れるほどの差は全くないでしょう。
雑誌や新聞の売り上げを参考にされてますが、雑誌や新聞という所謂ロートルメディアを有難がってるあたりやはり囲碁プレイヤーの平均年齢の高さを伺わせます。
スマホゲームの将棋ウォーズの人口は400万、囲碁ウォーズは過疎すぎてサービス終了しました。
abemaTVはご存知ですか?将棋チャンネルはありますが囲碁チャンネルはありません。
将棋アニメはつい最近までいくつかありましたが、囲碁はヒカルの碁以来皆無です。
先進メディアでは囲碁は影も形も存在しないのです。
若者が囲碁に触れる機会が皆無で、あと20年もすれば廃れてる恐れすらあります。
碁会所が多いのはネット上に「囲碁」が存在しないからです。
そして、そもそも将棋を指す相手や場所なんて、わざわざ探す必要が無いからです。
相手なんて、そこら中にいますから。
囲碁の賞金額と将棋の賞金額についてですが、食っていけてるプロ棋士の割合はどうですか?
食っていくのすら厳しいとyoutubeで愚痴を吐いてる囲碁棋士が居ますが、そんな将棋棋士は見た事ありません。
見たくないものを見てないだけではないでしょうか?
例えば、こういうもの
https://research-platform.line.me/archives/38668221.html
無茶苦茶な比較ですね。囲碁棋士の頭の悪さが伺えます。
とうとう本因坊戦が大幅に縮小されることになりましたね。こちらのブログのように囲碁打ちの唯我独尊の高尚な方々が原因ではないですかね。囲碁は金持ちの道楽のボードゲームの域を出ないというのが現状です。そのうちプロ囲碁棋士はいなくなるのではないかと思います。2022年のレジャー白書によれば、囲碁人口は150万人です。2021年から30万人減です。今後数年で100万人を切る可能性もあります。なお、将棋のプロ棋士で囲碁を揶揄する人など寡聞にして知りません。囲碁を打つ将棋棋士もいるでしょうが、囲碁を指すよりも羽生さんのようにチェスをするのが自然の流れでしょう。囲碁界は日本棋院と関西棋院との2組織があります。こんな小さな日本に2組織があること自体異常です。